山容が八ヶ岳に似ているため、「ニセ八ツ」の異名を持つ茅ヶ岳は、日本百名山の著者・深田久弥氏の終焉の地です。3月21日が命日で毎年4月には深田公園において、韮崎市と地元の山岳会主催で深田祭が催されているそうです。第32回の今年は4月21日の予定との事です。
午前2時40分出発。中央高速韮崎インターから県道韮崎昇仙峡線で深田公園駐車場に5時着。外気温-1℃と寒いです。気温の上がるのを待っていたのですが、7時をすぎても-1℃のままです。それでも周りに陽があたり始めたので、大明神登山口から出発する事にしました。
駐車場の上から林道に入ると、すぐに茅ヶ岳と深田公園との分岐に出ます。公園は帰りに寄る事にし、右の登山道へ進みます。枯れたカヤトや落葉樹の雑木林が続きます。その中にアカマツの赤い幹も見られます。
このコースで唯一の水飲み場である「女岩」は、崩落の危険があるので50m手前で通行止めになっています。そこから右に進むと登りがきつくなりますが、女岩を下に覗き込むようになった頃にやわらかい落ち葉のじゅうたんが敷き詰められている場所にでました。クッションの良い歩きやすい道は木々からの嬉しいプレゼントです。
女岩から1時間ほど登ると稜線に出ます。そこからは茅ヶ岳山頂や金峰山や奥秩父の山を眺める事が出来るようになり、富士山も枝越しに望めます。左に歩を進めると、「深田久弥先生終焉の地」(1971年3月21日)と刻まれた小さな石碑があります。ご冥福を祈るとともに、私達も百名山に登頂出来ます様にお願いしました。そこから15分ほどで山頂に到着です。
山頂は開けており、富士山・奥秩父・八ヶ岳・南アルプス・北アルプスなど、360度の展望です。
雪の残る南アルプスの白鳳三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)や八ヶ岳、春霞に浮かぶ富士山など素晴らしい眺めです。
山頂での展望を楽しんだら、金ヶ岳に向けて出発です。金ヶ岳は茅ヶ岳より60メートルほど高く南峰と、山頂のある北峰があります。
明神登山口までバスやタクシー等を利用してきた人は、茅ヶ岳から金ケ岳を登り明野方面へ下る人が多いようです。
再び茅ヶ岳山頂に戻ると、方位盤にエルタテハチョウが止まっていました。帰りは尾根道経由深田記念公園コースで下ります。途中で千本桜方面へも道が分かれていて、明野千本桜公園に続く道のようです。
尾根道コースを一気に下って行くと1時間30分程で、深田記念公園に着きました。茅ヶ岳が望める公園には、「百の頂に百の喜びあり」の深田久弥氏の言葉が刻まれた記念碑があります。
3月で残雪が心配でしたが、軽アイゼンの出番もなく歩く事ができました。芽吹き前ですがそれでも春の気配は感じられ、静かな山歩きを楽しみました。