紙地図とコンパスで現在位置を知る方法
せっかくGPSを持って行っても、電池切れや故障で使えないことがあります。そのために紙地図を持って行くことはとても重要です。
最近、あまり紙の地図を持たずに山に入られる方もおられるようですが、紙の地図と磁石(コンパス)は必ず持って行きましょう。
準備するもの
- 1/25000の国土地理院地図
- マップ用コンパス(右画像)
国土地理院の地図は、日本地図センターのホームページに各県で取り扱っている販売所が掲載されていますから、そこで求めます。日本全国の地図を全部揃えているとは限らないので、事前に電話などで確かめた方が良いです。インターネットでも購入できます。
地図を買ったら、直ぐに磁北線を書き入れます。地図の真北と磁石が示す北(磁北)は違います。これを「偏角」と言います。国土地理院の地図の左端の地図名が書いてあるところに「磁気偏角は西偏7°20’」などと書いてあります。
この値に従って分度器などで磁北線を書いても良いのですが、小さな分度器では正確な角度で磁北線を書くのはちょっと無理です。そこで、むかし習った三角関数のタンジェント(tan)を使います。
中学校で習った三角関数のおさらいです。
tan A = BC/AB でした。
いま、1km間隔(=4cm)で磁北線を引く場合、BC=4cm。
求めるXの長さ(=AB)は
7°20’ = 7.3333度 ですから
X = 4/tan(7.3333)
= 31.082
となります。
地図の左下の角から右に4cm、上に31cmの2点を結べば偏角が7.3333度の磁北線になります。4cm間隔(実際は1km間隔)でこの線に平行な線を何本か引いておけばコンパスが使えます。
上のタンジェントの計算には関数電卓を使うと便利です。関数電卓はスマホのアプリにたくさんあります。
私の場合は右の画像のものをインストールしています。(無料です)
磁北線入りの地図をダウンロードする方法
国土地理院の地図を買って、磁北線を入れるのは地図の好きな人にとっては楽しみの一つですが、面倒だという人にはネットから入手する方法があります。
しかし、プリンターで印刷した地図は水濡れに弱いので、何らかの水濡れ対策が必要です。
磁北線入りの地図を無料でダウンロードできるサイトについては、https://littlemountain.biz/report/1648.htmlをご覧ください。やり方も含めて詳しく紹介されています。
現在位置を特定する
- 周りを見回して地図上ではっきりこれだと分かる目標物を探す。(山のピークなど・・・)
しかし、あまり遠い目標物は誤差が大きくなります。できるだけ近い目標物にします。 - コンパスを体の前に持って、コンパスの前を正確に目標物に向けます。
- その状態を保ったまま、コンパスのカプセルを回して、中の矢印と方位磁針を合わせます。
- これ以降は方位磁針は無視。
- コンパスを紙地図の上に置き、コンパスの長辺の1点を地図上の目標物の位置に合わせます。
- カプセル内に数本描かれている「矢印と平行線」のどれか1本と、地図上の磁北線とが重なるようにコンパスの位置を微調整します。ここで重要なのは地図上の目標物と長辺との接点をしっかりキープしたままにすることです。
- この状態で、コンパスの長辺に沿って線を引きます。この線と地図上の登山道との交点が、現在地です。
- 以上は、登山道の上にいることが、はっきり分かっている場合です。
- 登山道の上にいることが分からない場合は、1番と同じ方法でもう1個の目標物を設定します。第一の目標物と90度前後の角度にあるものが誤差が少ないです。
- 第二の目標物に対して2番から6番の方法で、もう1本の線を引きます。
- 2本の線の交点が現在地です。
ここで注意しなければならないことは、目標物に設定するものが、南北線に近い場合は誤差が大きくなります。南北線とある程度の角度を持った目標物の方がいいです。
文章では分かり難いでしょうから、詳しいことは、こちらのサイト「コンパスの使い方」をご覧ください。分かりやすい説明と画像があります。動画もあります。