福井県大野市にそびえる荒島岳は、大野富士とも呼ばれています。登山道は最もポピュラーな勝原スキー場コース・小荒島岳を経由する中出コース・鬼谷林道を通る左開コース(2013年10月現在、佐開登山口に繋がる作業道で崩落箇所が見つかったため、通行止めになっています)と三カ所から伸びており、シャクナゲ平で合流して山頂へと続いています。
ホームページ「GPS登山」の師でもある福井県に住む兄と、白山・伊吹山以来の山行です。前日に兄宅に泊めてもらい朝6時過ぎに出発、勝原(かどはら)スキー場跡から出発します。
勝原スキー場は2010年に閉鎖され、今はすすき野原になっています。歩き始めは広いゲレンデ跡ですがしばらくすると、岩のゴロゴロした道がリフト終点跡まで続きます。そこには荒島岳登山口の標識が立っていて、そこからはブナやミズナラの大木が多い林になり、木の根が浮き出た登山道を歩くようになります。
老木に「トトロの木」と名前が付けられていますが、ロープで囲まれ立ち入り禁止の札が立てられています。
また、人が潜れるくらいの穴は、棒とロープで塞がれています。木を守るためでしょうが、老木の格好いい姿のままで、守る事は出来ないでしょうか?
シャクナゲ平で、草むらにカメラの忘れ物を見つけた人が、目立つように標識の上にカメラを乗せました。兄も出会う人達に「カメラを忘れませんでしたか」と声をかけながら登ったのですが、頂上に着くまで該当する人はいませんでした。しかし、シャクナゲ平に戻った時には、カメラは無くなっていたので、無事に持ち主に戻ったのでしょう。
シャクナゲ平を左に少し下ると佐開コースとの分岐があります。
さらに進み、岩が多くなると「通称もちがかべ」と呼ばれる約400mの難所です。もちがかべは滑りやすい急な斜面で、鎖や梯子の連続です。
登りの途中、四国の香川県からの団体さんとすれ違いましたが、その中に81歳の方がおられるとの事、私達もまだまだ登れそうです。
もちがかべを登りきると視界が開けて来ます。前荒島岳からは、笹の登山道が中荒島岳に伸びてて、その向こうに荒島岳山頂も見えます。
ようやく荒島岳に到着しましたが、あいにくの空模様で、楽しみにしていた白山も、顔を出してくれません。
山頂は広く、2012年に設置されたという新しい方位盤が、360度の展望を表示していますが、今日は残念ながら何も見えません。
白山と同様に、泰澄が開山したと言われている山頂には荒島神社奥の院が祀られています。
山頂で昼食を済ませ、風が冷たくなってきたので早々に下山することにしました。シャクナゲ平に戻り、小荒島岳まで行くことにします。
秋の気配の荒島岳で見つけた花と実
小荒島岳は中出コースの途中にありますが、車を勝原スキー場に停めてあるので、シャクナゲ平から往復することになります。登山道は緩やかで片道20分程の尾根歩きです。
小荒島岳からは、荒島岳の山容がよくわかります。少し足を延ばしただけで、素晴らしい景色に出会えました。
小荒島岳からシャクナゲ平に戻り、勝原スキー場に戻る途中、福井の山(大日岳や経ヶ岳)がいつまでも登山道から眺めることができました。
日本百名山の深田久弥が、子どもの頃から見ていたという荒島岳は、ブナの原生林のあるいい山でした。白山の展望が加わればもっと感激したかもしれません。
山好きに限らず心に残る山は、それぞれにあるのではないでしょうか。山に登るようになって、子どもの頃に登った故郷の山が、時々思い出されます。
いつか、荒島岳と共に福井県の百名山候補にあがった「能郷白山」にも登ってみたいと思います。